エピローグ

 ――5年後


「凜、転ぶから走っちゃダメだよ」
「大丈夫だもん」

 僕と陸さんの間には、凜という男の子が生まれた。番になってから2年後だった。

 そろそろ子供でも、というときにちょうど妊娠がわかった。だから陸さんは、空気の読めるヤツだなと笑った。僕もそう思った。そして凜の誕生に喜んだのは僕たちだけでなく、4人の両親たちは大喜びした。


「パパ、ママ早くー」

 凜は僕たちの少し前で振り向いて僕たちを呼ぶ。八重桜が咲き、藤棚の藤も咲いている今、僕たちは箱根の強羅公園に来ている。宿泊はもちろんあの宿だ。

 2人で広いと思ったあの部屋だけど、凜がいるとそれほど広いとは思わない。いや、広いには広いんだけど元気でじっとしていない凜にはあのくらいの広さがないとダメだ。

 凜はほんとに活発な男の子で、とにかくじっとしていない。なので新婚当初から住んでいたあのマンションでは手狭になって、新築で家を建てて少し前に引っ越したところだ。

 庭も広いので、将来もう1人子供が生まれても2人で十分遊べる。そんなところだ。

 凜は僕と陸さんが追いつくのを待ってから僕と陸さんと手を繋いで歩く。


「夏休みはハワイ?」
「そうだぞ」
「どんなところなんだろう。楽しみ!」

 凜が生まれてから毎年どこかへ連れて行ってくれる陸さんだけど、凜も少し大きくなったから大丈夫だろうと今年の夏休みはハワイに行くことを昨日決めた。だから凜は今からハワイを楽しみにしている。

 陸さんと結婚して、番になって、凜が生まれて。僕は今ほんとに幸せだ。そしてこの先もずっと幸せだと信じている。

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