切なくて恋しくて〜zielstrebige Liebe〜

向けられた刃 02

「で、誰がやったって?」 涼がビールを一口飲んでから口を開く。俺はプルタブは開けたけれど、まだ飲んではいない。 「まだ確信があるわけじゃないよ。でも、優馬さんがデザインしている会社の人で優馬さんのことを好きな人みたい。不穏な話しを聞いたっ…

まだ見ぬ地へ 01

 最近、優馬さんから新しいカフェを教えて貰って定休日に足を運んだ。店内は白木と白で明るくて落ち着いた佇まいだ。お店の雰囲気はいい。でも、一番大事なのはコーヒーだ。どんなにお洒落なお店でもコーヒーの味がイマイチだったらダメだ。「うーん。悪くは…

まだ見ぬ地へ 02

 正門さんのお店に行ってすぐの日曜日、正門さんがお店にコーヒーを飲みに来た。「正門さん!」「店に来るのは久しぶりだな」「1年以上は経ってるかと」「そんなになるか。今日はコーヒーを飲ませて貰うよ。ブラジルをくれ」 正門さんにコーヒーを淹れるの…

同じ空の下 01

 あっという間に9月になり、海外へ行く日になった。東京から直行便があるのはパリだけなので、まずはパリに行く。そこでまずはパリのカフェでコーヒーを楽しんでからローマへ行き、それからデュッセルドルフへと行き、帰国はもう一度パリに寄ってそこから東…

同じ空の下 02

 その日の夕食は、ホテルからほど近いところでフランスの家庭料理を出すレストランに足を運んだ。 まずはじゃがいものガレット。とはいえ、日本でやるようにそば粉を使ったりせずに、じゃがいもを細切りにして焼いただけのシンプルなものだ。でも、それが美…

同じ空の下 03

 パリでカフェ巡りをした後はローマに飛び、ローマでカフェ・バールをまわる。 フランスでは日本と同じように普通にカフェだが、イタリアではバールになるが普通にバールと言うと立ち飲みになる。日本でいうカフェの場合は、カフェ・バールと言ってカフェメ…

試験と恋と 01

 ドイツから帰って来て休む間もなくお店を開ける。 豆を焙煎するとコーヒーの香りが店に充満してくる。ドイツでのことがあって精神的にかなりキツいけれど、コーヒーの香りで気持ちを落ち着ける。今日のブレンドを決め、ケーキの様子を見るのに冷蔵庫を開け…

試験と恋と 02

「試験前で忙しいのに食事に付き合わせてごめんね」 お好み焼きを食べながら優馬さんが謝ってくる。今食べているのは豚玉だ。こんな庶民的なお好み焼きさえイケメンが食べると高級食に見えてくるから不思議だ。俺が食べてもそんなことはない。「いいえ。食事…

幸せに向かって 01

 何年かぶりにきた動物園はわくわくした。子供の頃は親に連れられてよくきた。デートでは大輝と高校生の頃に来た。この動物園は市が運営していて入場無料だから、お金のない学生のデートにはありがたかった。「実は僕、ここ初めてなんだよね」「そうなんです…

幸せに向かって 02

 ネルフィルターをセットし、ミルで挽いたばかりの粉をドリッパーに入れる。今日は久しぶりにホンジュラスを選んだ。残りわずかだから買っておこうかな。 お湯を注いでまずは蒸らす。だんだんと泡が消え、ボソボソと穴があいてきたら2回目のお湯を注ぐ。そ…