切なくて恋しくて〜zielstrebige Liebe〜

Move on

「大輝……。待ってる。待ってるから」「待たなくていいよ。俺じゃなくてもいい」 大輝は一瞬切ない顔をして俺を見たけれど、次の瞬間には俯いて、苦しそうにその言葉を紡ぐ。大輝はほんとはどうして欲しいんだろう。別れたいのか、待っていて欲しいのか。い…

切なくて残酷で綺麗で 01

 俺が横家大輝《よこやだいき》に告白をされたのは高校2年のときだった。 俺と大輝と氷見谷涼《ひみやりょう》の3人はいつも一緒にいた。大輝と涼が幼馴染みで、中学のときに俺が涼と同じクラスになったことをきっかけに仲良くなり、大輝とも仲良くなった…

切なくて残酷で綺麗で 02

 大学の後期試験を終えたあと大輝はドイツへ2週間の短期サッカー留学へと旅立った。 たった2週間。それでも、中学から一緒にいて2週間も会わないのは初めてだ。でも会えないことよりもメッセージすらろくに来ないことが寂しかった。きっと忙しいのだろう…

霧雨が降るように 01

 俺が話し終わると同時に優馬さんは視線を落としてコーヒーカップをソーサーに置いた。 俺の話しを優馬さんがどう受け取ったかはわからない。ただ、寂しいと思いながらも大輝を待ち続けているのをわかって貰えればいい。「まだ待ってるの?」「はい」 涼に…

霧雨が降るように 02

「なに? どうかしたの? なんかあった?」 さすがに中学からの長い付きあいだけあって、俺のささいな変化にも気がつく。やっぱりごまかせないよな。「まさか、迎えに来た?!」 まさかな、と言いながらも訊いてくる。もし大輝が俺を迎えに来てくれたなら…

思い出のシーグラス 01

 お店の定休日である火曜日。俺は昔大輝と来た海へと来ていた。しかし、12月の海は季節外れすぎて人の姿が見えない。 俺は海が好きで、気持ちを落ち着けたいときは1人で海に来ては水平線を見ながら波の音を聞いている。特に大輝がドイツへ行ってから海に…

思い出のシーグラス 02

 そう言って優馬さんが連れてきてくれたのは、普通に想像するレストランではなかった。というより、そのお店は看板にはカフェ&バーになっていた。でも、優馬さん曰く簡単な洋食メニューは提供されており、普通に食事時になると洋食目当てのお客さんが来ると…

交差する想い 01

 オムライスを食べて、満足して店を出た。また海に来たときにでも寄ろう。「湊斗くん送るよ」 優馬さんは自然にそう言うけれど、いいんだろうか。一瞬そう思うけれど、ここで断る方が不自然だ。そうしたら送って貰おう。「乗って」 そう言って助手席側のド…

交差する想い 02

 くしゅん! 暖房もつけずに玄関でしゃがみ込んでいたらくしゃみをして我に返る。考えるにしても部屋に入って暖房をつけてからにしよう。その前に風呂に入って体を温めよう。そう思って風呂のスイッチを入れ、暖房を入れてソファーに座る。風呂が沸くまで時…

伝わる気持ち 01

 優馬さんとお寿司を食べに行ってから、たまに夕食を食べに行ったりするようになった。優馬さんは食べることが好きらしく、色々なお店を知っているし、自分でも作ったりするらしい。いつか手料理を食べてみて欲しいと言われるが、家にお邪魔させて貰うのは外…

伝わる気持ち 02

 その日、優馬さんは珍しく平日の夜、店にやってきた。「平日の夜って珍しいですね」優馬さんが来るのは週末の昼間か平日の昼間だ。夜来ることは少ない。「湊斗くんのお友達に会ってみたくてね」「ここ2、3日来てないから今日は来ると思うんですけど。何に…

向けられた刃 01

 それはある日突然起こった。インターネット掲示板に、俺の誹謗中傷が書き込まれていたのだ。ただ、俺に対する誹謗中傷だけど、店名もしっかり出ている。それを見つけたのは常連の舞さんで、ある日ネットをしていてたまたま見つけたと言い俺に教えてくれた。…