伊勢エビの後は口直しとしてシャーベットが出てくる。さっぱりしていて気持ちいい。
そして口直しの後は旬野菜のサラダと続き、メインの宮崎牛が出てくる。
楽しみにしていた宮崎牛が出てきて思わず歓声をあげてしまう。立樹は大笑いだ。
そこで思い出したのは父親の言葉だった。うちは母が好き嫌いが多いので、父は俺にはなんでも食べられるように小さい頃になんでも食べさせたらしい。
もちろんそれで好き嫌いが少ないのかはわからないけれど、俺はたいした好き嫌いもなくなんでも美味しく食べる。そう、お酢を使った料理以外は。
俺はステーキはシンプルな味付けで食べるのが好きだ。と、そこで思い出した。
でも牛肉の良さは色々だよなと思いながら食べる。
さすがに和牛は高い。だから普段食べる牛肉は海外産の牛肉が多い。でも、美味しいのは断然和牛だ。その中でも宮崎牛は美味しいとされている。
そんな宮崎牛をシンプルな味付けで食べられるのは贅沢だ。
美味しい宮崎牛を食べた後は、やっと食事でご飯、味噌汁、香の物が出てくる。ご飯は一つはガーリックライスだ。
ご飯を分けるために立樹が取り皿を頼んでくれる。そして、ガーリックライスを半分俺の方に、そして普通の白米の半分を立樹の前に置く。
ここまでがシンプルな味付けだったから白米だと少し寂しい気がしていたけど、お米も美味しくて意外とそのままでも美味しく食べれた。とはいえ、にんにくのパンチのあるガーリックライスも美味しいけれど。
デザートが出るのはわかってるけど、デザートが仮にケーキだとしても1ピースくらいペロッと食べちゃうけどな、と思いながらも頷いた。
と、頷いたけれど美味しい白米とにんにくに刺激されたガーリックライスでご飯を残すことはなく、ぺろりと全部完食してしまった。
そう言って俺は楽観視していた。
お皿が片付けられどんなデザートかなと楽しみにしているとまずコーヒーが置かれ、そのあとにホールケーキが出てきた。チョコレートケーキでプレートには『5th Anniversary』と書かれている。
つやつやのチョコレートでコーティングされていて見た目からして美味しそうだ。
多分、俺が今チョコレートにハマってるからチョコレートケーキにしてくれたんだろうなと思う。家でもチョコレートを食べたりしているから。
切り分けられたケーキを一口くちにすると、甘さ控えめな上品なチョコレートの味が口いっぱいに広がった。
俺がそう言うと立樹はケーキを口に入れた。すると目が見開いて、美味いと言った。
俺がそう言うと立樹はスタッフに部屋に持ち帰れるか尋ねると後で部屋に届けてくれると言うので、できるだけここで食べて食べきれない分は届けて貰うことにした。
立樹は俺が喜んでいればいいって言うけど、ちょっと悔しいと思う。小さなことでもいいからなにかすれば良かった。と考えて、今までもなにもしてこなかったと後悔する。となると、ほんとに喜んで笑うしかない。いや、そうしようとしなくても今の時点で十分嬉しくて笑っていると思うけど。
立樹が頼んでくれたアニバーサリーケーキだ。美味しいし、立樹の分まで食べるぞと気合いを入れる。
立樹はそう柔らかく微笑む。
ここまで5周年記念を演出してくれた立樹に感謝しながら俺はケーキを食べた。チョコレートだけどビターチョコレートだからほろ苦くて結構食べれそうだ。これ、帰ったらダイエット必要かもしれないな。それでも、こんなにしあわせな味で太るのならいいと思えた。
耳元でそんなことを囁かれた後は、耳をパクリと食まれる。立樹の唾液の音が響いて、耳の弱い俺は喘ぐしかなくなる。
立樹の手は執拗に乳首を攻める。乳首も性感帯の俺はたまらない。快感は高みへとのぼる。
耳と胸を散々攻められて、立樹が欲しいのになかなか入れてくれない。
立樹の問いかけにこくこくと頷く。さっきから弱いところをこれでもかと攻められて欲しくならないわけがない。
そういうと立樹は、自身をあてがうとゆっくりと俺の中に入ってくる。ミチミチと広がっていくそこは、苦しいけれど気持ちがいい。
立樹はそう言ってある一点を擦る。そこは前立腺で、俺の弱い上を擦られるともうたまらなくなる。
前立腺を擦られ、浅いところで腰を振られるとたまらない。もっと欲しい。もっと奥まで欲しいと淫らにも俺も腰を振る。
そういうと立樹はもっと奥へと入ってくる。もっと……もっと奥まで欲しい。そして最奥を突いて欲しい。
そう言うと立樹は一気に一番奥まで入れてくる。あまりに急に一番奥を突かれて目の奥がチカチカとする。でも、それがたまらなく気持ちいい。
パンパンと乾いた肌と肌がぶつかる音がして、その音にさえ気持ちよくなってしまう。
そう言うと立樹の腰の動きはもっと早くなり、俺はもっと高みへと上り詰める。俺の腰も揺れていて、もうイキそうになる。
止まらない立樹の腰の動きが気持ちよさを加速させる。
一番の高みから一気に落ちる感じ。立樹が最奥 を突いたとき、俺は背を仰け反らせてイった。
イった後の体はすごく敏感で俺がイっても立樹がまだ中にいるから、立樹の形を感じるだけでもイキそうになる。
イクのに前を触らなくても後ろだけでイッてしまう敏感な体だ。立樹の上り詰めるような色気を見ているだけでもイキそうになる。
俺はイったばかりで息が乱れているので声を出すのがしんどいので、頷く。
立樹はそう言うと再度腰の動きを早める。眉間に皺が寄っていることから、もうすぐイクんだろうとわかる。でも、俺もイったばかりの敏感な体だから、またイキそうになる。
最後。俺の中で光がはじけた瞬間、立樹も俺の中で果てた。
頭の上から声が降ってくる。
事が済んで、立樹の肩に頭を乗せている状態で訊かれたので上を向いて答える。
そう言うと立樹は俺の頭を撫でてくれる。いつも俺に甘い立樹だけど、セックスのあとの立樹の表情は砂糖と蜂蜜を混ぜたような甘い表情で俺を見る。甘さが半端なくてその表情をみると、愛されているんだなと強く感じる。
と、そんな事後の甘い空気を破ったのは俺のお腹の音だった。色気もなにもなく、グーと大きな音を立てて空腹を訴える。
そう言いつつもまだ笑っている立樹に、俺は唇をとがらせて起き上がり残っていたケーキを食べた。ホールケーキのほとんどを俺が食べたことになる。家に帰ったらほんとにダイエットしないとマズイよな。
クラブラウンジはスイートルーム利用の人だけなのでそんなに混みあうことはなさそうだ。スイートルームなんて高いだけと思っていたけれど、昨日の貸切露天風呂も無料だったし、クラブラウンジを使えるのならそれほど高いとは言えないのかもしれない。せっかくの記念日だからとスイートルームをチョイスした立樹はできる男だ。そんなできる男が、俺のものってすごいことだなと思う。惚れ直すよなぁ。
食べ物の話しをしていて、なんで惚れ直すという話しになったのか立樹はわかっていないようだ。いつもなら言ってしまってるかもしれないけど、今は言ってやるもんか!
そう思ってベッドに再び入って立樹に背中を向けて横になる。いや、ベッドはもう一台あるけど、ベッドは大きいので2人で寝ても余裕があるし、いつも立樹と寝ているから癖で同じベッドに入ってしまう。
背中を向けた俺に立樹が謝ってくる。
耳元で謝られて、後ろから腰を抱かれたらすぐに許してしまう。チョロいな、俺。
立樹の腕の中でもぞもぞとし、立樹に向き合う。
俺がそう言うと立樹は破顔した。
そう言って俺の髪を梳いてくれて、俺は気持ち良さに目をつむる。言葉が途切れても手はずっと髪を梳いてくれているから眠くなってしまい、俺はそのまま眠りに落ちた。