第1章
世の中には第一性である男女に加えて、α、β、Ωという第二性(バース性)が存在する。 バース性は10歳の時に受けるバース検査でわかる。 αはエリート性とも言われ、何らかの特出した才能がある”エリート”だ。才能を欲しいままにしている人も多い。…
不出来なオメガのフォーチュン
第2章 01
チンピラに絡まれているところを神宮寺に助けられてから二週間後。直生はネオン街で途方に暮れていた。 ここはドラマや小説の世界か! と言いたくなるようなことが自分の身に起きたのだ。 それは、家に帰ったらアパートが全焼し、住む家がなくなっていま…
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第2章 02
「ん……」 窓から差し込む陽射しに意識がゆるゆると浮上する。目を開け、目に入った天井を見た瞬間はそこがどこかはわからなかった。しばらくボーッと天井を見つめて、そこがやっと神宮寺に借りた家だと気づく。 普段天井なんて意識していないので、どこの…
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第3章 01
なんでこんなところにこの男といるんだろうか、と直生は考える。 品のいいイタリアン・レストラン。照明が落とされ、テーブルの上のキャンドルがゆらゆらと揺れる雰囲気のいいお店。デートで来たら女性は喜ぶだろう。そんな店。 そんな店で直生の目の前に…
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第3章 02
時間があるときはネットや街の不動産屋を見て空き部屋を探す。しかし、やはり新生活が始まったばかりで時期が悪く、空き部屋自体が少なく、その中で通勤に便利なところ、というと皆無だった。その度にため息が溢れる。 部屋を探しながら以前のところに戻る…
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第4章 01
直生と神宮寺が一緒に食事をするようになってどのくらいが経つだろうか。神宮寺からの甘い言葉も甘い表情にも最近は慣れてきた。いや、慣れてきただけで進展があったりするわけではないけれど。ただ、神宮寺ははっきりと言葉にはしないし、返事を求められて…
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第4章 02
神宮寺の声を聞いた直後には、道路に転がっていることに気づく。それでも痛みは一切ない。それもそのはずで、神宮寺が直生を抱えて庇っていたからだ。 そのことに気づき、すぐそばにある神宮寺の顔を見ると、頭からかなりの血を流れていることに気がつく。…
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第4章 03
土曜日は、面会時間になってすぐに病院へと行った。すると、病室に神宮寺によく似た髪の長い綺麗な女性がいた。直生がドアを開けると、軽く会釈をしてくる。もしかして神宮寺の家族かもしれない、と声をかける。「あの……神宮寺さんのご家族の方ですか?」…
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第4章 04
神宮寺が退院したのは、それから一ヶ月ほどしてからだった。退院後の神宮寺は、長らく病院にいたせいで忙しく、一緒に食事をすることもままならなかった。一人で食事をするのには慣れていたはずなのに、神宮寺と食事を共にすることに慣れてしまっていたから…
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第4章 05
番になった後の神宮寺はさらに直生を構い倒した。 週二回ほどだった食事会は、場所を神宮寺の家に場所を変え、毎日となった。 初めは必死に辞退した。仕事で遅くなることもあるし、神宮寺だって仕事が忙しいだろう。なのに毎日料理を作るのは大変だろう、…
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後日談
――五月。「お母さん! いつもありがとう」 廉が直生に赤いカーネーションを差し出す。直生は一瞬、なんのことかわからずキョトンとしたが、母の日だよ、と言われてやっとわかった。「ありがとうって言われるほどなにもしてないよ」 そう答えるが、廉は…
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